

美容室の集客アップには、マーケティングのSTP分析は必須です。
是非やってみてください。
この記事の内容
STPって何?
STPとは、マーケティングの世界で知らない人がいないほど有名なフィリップ・コトラー教授が提唱したマーケティング戦略策定プロセスです。
自社(自店)が誰に対してどのような価値を提供するのかを明確にするためにSTP分析を行います。
4P分析よりも抽象的な分析です。
以下が、STPの内容です。
- Segmentation(セグメンテーション:セグメント化)
- Targeting(ターゲティング:ターゲット選定)
- Positioning(ポジショニング:立ち位置を決める)
美容室に置き換えると、、、
それぞれ以下のようになります。
セグメンテーション
=>客層の分解
ターゲティング
=>客層の決定
ポジショニング
=>自店の立ち位置決定
STPはマーケティング戦略の一部
STPはマーケティング戦略の一部なので、STP分析単体で価値を生み出すものではありません。
マーケティング分析は以下の順で行います。
- マーケティング環境分析と市場機会の発見
- セグメンテーション(市場細分化)
- ターゲティング(市場の絞り込み)
- ポジショニング
- マーケティング・ミックス(4P)
- マーケティング戦略の実行と評価
このSTP分析を行ってから、4P分析を行います。
4P分析についてはこちらの記事を見てみて下さい。
美容室のSTP
セグメンテーション
まず、客層の分解からです。
分解の切り口は様々なものがあります。
よく言われるのは下記の切り方です。
・地理的変数:居住地域・気候
・人口動態変数:人口数・年齢・性別
・心理的変数:ライフスタイル・社会的地位
・行動変数:購買状況・使用頻度
美容室(美容院)の場合は、「性別」、「年齢」、「ライフスタイル」での分析が適当だと思われます。
ライフスタイルで切り分ける場合の例としては、
「学生」、「OL」、「専業主婦」、「子育て中の主婦」、「婚活中」など、で切り分けをすることができます。
ターゲティング
セグメンテーションで客層の分解ができたらどの客層をターゲットにするかを決定します。
ターゲティングするときには6Rの観点から検討・分析するのが一般的です。
6Rは以下です。
- 有効な市場規模(Realistic Scale)客数が十分いるか?
- 成長性(Rate of Growth)客数が増えるか?
- 顧客の優先順位 / 波及効果(Rank / Ripple Effect)口コミなどを広めてくれそうな層があれば波及効果を狙い優先的に選ぶ
- 到達可能性(Reach)集客できる客層か
- 競合状況(Rival)その客層に対してサービス提供を行っており、確固たる地位を築いている競合がいるか
- 反応の測定可能性(Response)実行されたアクションの反応を測定しやすい客層か アンケート調査に答えてくれるか等
市場規模については、その客層の人口が周囲に十分いるかを調査します。
成長性については、近くに大きな大学のキャンパスができる予定だと学生セグメントが評価されます。ファミリータイプのマンションが近くに建つ場合だと、子育て中の主婦セグメントが評価されます。逆に若い人の人口流出が続いている場所は婚活中など20代の年齢層がマイナス評価となります。
波及効果については、F1と言われる20~34歳の層がオススメです。この層は消費意欲が強い層で美容にお金をかけやすい層と言われています。また、SNSの普及により美容院帰りの投稿などで店名が広まりやすい傾向にあります。
このようにしてターゲティングを行います。
ポジショニング
ポジショニングは立ち位置のことです。
基本的に2軸で表されることが多いです。
例えば、
都市部の20代OLをターゲットとしていた場合、
縦軸にリラックス度、横軸に高品質な美容サービス
として、競合にリラックス度が高く高品質な美容サービスを提供しているところがなければ、高リラックス、高品質な美容サービスのポジションを取ることができます。
OLは普段仕事で忙しく疲れている場合が多い傾向にあり、美容室にリラックスさせてくれることを求めていると考えられます。この場合、ヘッドスパの充実や、肩・首周りのマッサージサービスを提供することが望ましいと考えられます。
また、OLは使えるお金を持っており美容にお金を使う傾向があるので、高価格でも高品質なヘアサービス(高品質のカットだけでなく、高品質トリートメント、高品質のヘアカラーなど)を求めていると考えられます。
子育て中の女性の場合は、
日常に配慮したヘアデザイン(邪魔にならない短めかつおしゃれな髪型)の提供を縦軸とし、ちょっとした贅沢感を横軸とする。
この層は、子育てや家事の時、邪魔にならないけどおしゃれな髪型を求めている人が多いと考えられます。
また、普段贅沢できていない層なので、プライベートサロンとして完全個室かつ、コーヒーサービスが受けられたり、手が届く価格のトリートメントを提供したりと、ちょっとした贅沢を売りにすることも良いと考えられます。
実際には、上記のような仮説を立てて、ターゲットの層にいる数人をピックアップします。この人をペルソナといい、先ほどの客層としての考え方から1人の具体的な人になります。
このペルソナに対して、実際にサービスをお試しで提供してみたり、質問を行うなどして、仮説を検証していきます。
検証が完了してポジショニングが決まれば、4P分析で具体的な内容に落とし込んでいきます。
まとめ
STPは4Pよりも抽象的な分析です。
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングで、自店の戦う領域また、立ち位置を決めます。
立ち位置が決まったら、4Pで具体的な内容に落とし込んでいきます。
STPを行えば他店との競合を避けられ、差別化しやすくなります。
差別化できれば値下げ競争を回避することができますので、ぜひSTP分析と4P分析やってみてください。